リーダーシップ研究開発で日本の教育に新しい風を
リーダーシップ研究所
2016/05/12
リーダーシップ教育
OVERVIEW
リーダーシップ研究所の日向野 幹也 前所長 および経営学部の山口 牧 教育?研究コーディネーターによる、研究所紹介です。
日本初のリーダーシップ教育
「立教リーダーシップカンファレンス2015」 (2015年8月22日)
リーダーシップ研究所は、社会学部産業関係学科の教員を中心に構成していた産業関係研究所を改組して2007年に発足し、当初、総合研究センターに属していたものを2010年度より学部付設研究所に変更した。所長は、産業関係研究所所長であった笠原清志教授を継いで、2007年度から2015年度まで日向野幹也経営学部教授が務めた。そもそもリーダーシップ研究所に改組されたのは、2006年度に開設された経営学部にリーダーシップ教育が学部教育のコアとして位置づけられたのに伴い、我が国で先行事例がないこの分野において、研究と教育両面のリソースを重点的に配分して学界と社会に貢献するためである。実際、発足後毎年、国際カンファレンス(後述)を行い、成果の一部を出版するなどの活動をコンスタントに行ってきた。特筆すべきこととして、経営学部ビジネス?リーダーシップ?プログラム(BLP)では、先進的な教育方法を常に取り入れていることが評価されて、2011年に文科省?日本学術振興会の「教育GP?(2008─10年度)の成果審査の結果「他(大学)に波及が見込まれるイノベーティブな取組」であるとして最高ランクの評価を受け、さらに、内閣府の教育再生実行会議の第七次答申においては、全国で唯一アクティブラーニングの先進事例として取り上げられた。これらは、経営学部および立教大学の名を高めたと思われるが、こうしたイノベーティブな教育方法は、当研究所における教員の活動から生まれたものである。研究と教育を截然と二分することができるという従来の想定に対して、本研究所の活動は「教育方法の研究」という新しい視角を提案していると自負する。
リーダーシップ教育の広がり
2013年度には、経営学部での試みを全学対象に広げるためのグローバル?リーダーシップ?プログラム(立教GLP)がグローバル教育センターのもと全学共通カリキュラムに設置されて活動の範囲が広がった。これに伴ってリーダーシップ?カンファレンスも同センターと共同で行われるようになり、2012年度からは日本アクションラーニング協会年次総会と連続した日程で行われている。また、高大接続を意識して、学校法人河合塾の協力も得られるようになった。2014年度には、世界アクションラーニング機構(World Institute for Action Learning〔WIAL〕、本部=米国ワシントンDC、代表=Michael John Marquardtジョージ?ワシントン大学教授)から、アカデミック部門年間最優秀賞を授与され、日向野所長(当時)が年次総会の会場であるデリー(インド)で記念講演を行った。
2014年度は、WIALによる表彰と並んで、資金調達面でも特筆すべき成果があった。すなわち、文科省?戦略的研究基盤形成支援事業への認定と予算獲得である。これによりリーダーシップ研究所は「グローバル?ビジネス?リーダーシップの理論および教育技法に関わる研究」を5年間(2014─19年度)のプロジェクトとして遂行することが可能になった。また、研究遂行に必要な専門家の協力を仰ぎ、理論構築チーム、測定方法チーム、教育技法チームの3チーム編成で相互に連携を図り、これまでに次の研究プロジェクトが立ち上がっている。
⑴日本企業に勤務する従業員を対象とした、多様な組織におけるリーダーシップスタイルの定量調査とビジネス?リーダーシップ教育の実態調査、グローバルな場面で有効なリーダー行動の調査。
⑵汎用性の高いリーダーシップ行動の洗い出しと、リーダーシップ研修を実施することでの効果測定およびその測定方法の開発。
⑶蓄積されたリーダーシップ教育技法の論文?学会発表、新たな教育技法の実践と有効性の検証、国際会議への参加、海外のリーダーシップ教育先進大学への視察および研究員の招聘。
2014年度は、WIALによる表彰と並んで、資金調達面でも特筆すべき成果があった。すなわち、文科省?戦略的研究基盤形成支援事業への認定と予算獲得である。これによりリーダーシップ研究所は「グローバル?ビジネス?リーダーシップの理論および教育技法に関わる研究」を5年間(2014─19年度)のプロジェクトとして遂行することが可能になった。また、研究遂行に必要な専門家の協力を仰ぎ、理論構築チーム、測定方法チーム、教育技法チームの3チーム編成で相互に連携を図り、これまでに次の研究プロジェクトが立ち上がっている。
⑴日本企業に勤務する従業員を対象とした、多様な組織におけるリーダーシップスタイルの定量調査とビジネス?リーダーシップ教育の実態調査、グローバルな場面で有効なリーダー行動の調査。
⑵汎用性の高いリーダーシップ行動の洗い出しと、リーダーシップ研修を実施することでの効果測定およびその測定方法の開発。
⑶蓄積されたリーダーシップ教育技法の論文?学会発表、新たな教育技法の実践と有効性の検証、国際会議への参加、海外のリーダーシップ教育先進大学への視察および研究員の招聘。
国際カンファレンスの概要
ここで、冒頭に触れた国際カンファレンスについて詳しくご紹介する。
発足の年、2007年度は「21世紀のリーダーシップ」をテーマとし、神戸大学大学院経営学研究科教授の金井壽宏氏に「モティベーション理論とリーダーシップ持論─やる気を自己調整するフォロワーを生み出すリーダーになるために」をご講演いただいた。また、ヴィクトリア大学経営学部長Peter Thirkell氏、ミズーリ州立大セントルイス校准教授Allan Bird氏、テキサス大学Michael Stevens氏に「リーダーシップ教育の重要性」について、参加者と意見交換しながら議論をしていただいた。
2008年度は「グローバル時代のリーダーシップ」をテーマにミズーリ州立大セントルイス校准教授Allan Bird氏、サンノゼ州立大学准教授Joyce Osland氏、カリフォルニア州立大サンマルコス校教授Gary Oddou氏、テネシー州立大学チャタヌーガ校教授Mark Mendenhall氏らにご講演いただき、神戸大学金井壽宏教授らを加えて本研究所所員とワークショップを行った。なお、2007─8両年度のカンファレンスの内容に基づいて、『ビジネス?リーダーシップ入門』(日本評論社、2008年)が出版された。
2009年度は「Globalization, Challenges for Managers, and Calls for Leadership」をテーマにオレゴン大学名誉教授のRichard Steers氏をお迎えし、国際シンポジウムと国際ワークショップの二部構成で最先端の研究について活発な議論が行われた。
本研究所が経営学部の付属研究所になった2010年度は、「産学連携によるリーダーシップ開発授業」と題し、春学期に学部生が取り組んだ産学連携によるビジネス課題への成果発表が行われた。
2011年度は「アクティブラーニングとピア?ラーニング─立教大学BLPの取り組み」と題し、京都大学高等教育研究開発推進センター?准教授(現教授)溝上慎一氏に基調講演をお願いし、BLPの内容紹介なども行った。
日本アクションラーニング協会の年次総会と連続日程で行った2012年度は、?立教大学経営学部BLPにおけるアクション?ラーニング導入」について日向野所長の講演などを行った。
2013年度は「リーダーシップ教育と学生部の役割─米国大学Student Leadership Programをめぐって」をテーマにマリエッタカレッジ教授Gama Perruci氏、メリーランド大学名誉教授Susan Komives氏、バージニア州立大ジョージ?メーソン校教授Nance Lucas氏らにご講演いただいた。
2014年度は「リーダーシップと教育」をテーマとして、神戸大学金井壽宏教授に「リーダーシップ開発と組織開発」について基調講演をしていただき、全国のリーダーシップ教育拠点から活動を報告していただいた。なお、この年度から学校法人河合塾と連携し、全国の高校教員の参加も促進された。
2015年度は「アクティブラーニングのためにリーダーシップ教育が必要な理由」をテーマに、ジョンズホプキンズ大学工学部リーダーシップ教育センター上級専任講師William Smedick氏、Eric Rice氏にご講演いただき、また出席者にアクティブラーニングを体験してもらうセッションも行って東京大学大学総合教育センター准教授中原淳氏にラップアップをしていただいた。
リーダーシップ研究所のこうした発展には、多くの研究者、教育者、実務家の方々の協力が不可欠であった。この場を借りてお礼申し上げる。今後もリーダーシップ研究?開発(R&D)の推進によって社会に貢献していきたい。
発足の年、2007年度は「21世紀のリーダーシップ」をテーマとし、神戸大学大学院経営学研究科教授の金井壽宏氏に「モティベーション理論とリーダーシップ持論─やる気を自己調整するフォロワーを生み出すリーダーになるために」をご講演いただいた。また、ヴィクトリア大学経営学部長Peter Thirkell氏、ミズーリ州立大セントルイス校准教授Allan Bird氏、テキサス大学Michael Stevens氏に「リーダーシップ教育の重要性」について、参加者と意見交換しながら議論をしていただいた。
2008年度は「グローバル時代のリーダーシップ」をテーマにミズーリ州立大セントルイス校准教授Allan Bird氏、サンノゼ州立大学准教授Joyce Osland氏、カリフォルニア州立大サンマルコス校教授Gary Oddou氏、テネシー州立大学チャタヌーガ校教授Mark Mendenhall氏らにご講演いただき、神戸大学金井壽宏教授らを加えて本研究所所員とワークショップを行った。なお、2007─8両年度のカンファレンスの内容に基づいて、『ビジネス?リーダーシップ入門』(日本評論社、2008年)が出版された。
2009年度は「Globalization, Challenges for Managers, and Calls for Leadership」をテーマにオレゴン大学名誉教授のRichard Steers氏をお迎えし、国際シンポジウムと国際ワークショップの二部構成で最先端の研究について活発な議論が行われた。
本研究所が経営学部の付属研究所になった2010年度は、「産学連携によるリーダーシップ開発授業」と題し、春学期に学部生が取り組んだ産学連携によるビジネス課題への成果発表が行われた。
2011年度は「アクティブラーニングとピア?ラーニング─立教大学BLPの取り組み」と題し、京都大学高等教育研究開発推進センター?准教授(現教授)溝上慎一氏に基調講演をお願いし、BLPの内容紹介なども行った。
日本アクションラーニング協会の年次総会と連続日程で行った2012年度は、?立教大学経営学部BLPにおけるアクション?ラーニング導入」について日向野所長の講演などを行った。
2013年度は「リーダーシップ教育と学生部の役割─米国大学Student Leadership Programをめぐって」をテーマにマリエッタカレッジ教授Gama Perruci氏、メリーランド大学名誉教授Susan Komives氏、バージニア州立大ジョージ?メーソン校教授Nance Lucas氏らにご講演いただいた。
2014年度は「リーダーシップと教育」をテーマとして、神戸大学金井壽宏教授に「リーダーシップ開発と組織開発」について基調講演をしていただき、全国のリーダーシップ教育拠点から活動を報告していただいた。なお、この年度から学校法人河合塾と連携し、全国の高校教員の参加も促進された。
2015年度は「アクティブラーニングのためにリーダーシップ教育が必要な理由」をテーマに、ジョンズホプキンズ大学工学部リーダーシップ教育センター上級専任講師William Smedick氏、Eric Rice氏にご講演いただき、また出席者にアクティブラーニングを体験してもらうセッションも行って東京大学大学総合教育センター准教授中原淳氏にラップアップをしていただいた。
リーダーシップ研究所のこうした発展には、多くの研究者、教育者、実務家の方々の協力が不可欠であった。この場を借りてお礼申し上げる。今後もリーダーシップ研究?開発(R&D)の推進によって社会に貢献していきたい。
※本記事は季刊「立教」236号 (2016年3月発行)をもとに再構成したものです。定期購読のお申し込みはこちら
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